都市計画について①
今後から基本的にですます調に改めます。
石田頼房『日本近代都市計画の百年』がとても面白いと思いました。
都市計画について知るなら、日笠端・日端康雄の『都市計画』も良いと思いますが、歴史的な議論を追っていくには石田の著書が推奨されます。
具体的な議論は次から紹介していきますが、また何回かに分けて行く予定です。
都市計画というのは曖昧な分野だと思います。
交通計画というのはもっぱら交通について扱えばいいし、住宅計画というのは住宅について考えていればいい。そうすると都市計画というのは、都市について扱うということになりますが、都市とはそもそも何でしょうか。
これを考え始めると、人類とは何かとか、社会とは何かとか、答えの出ない領域に足を突っ込むことになる。こうした議論に結論は出ません。
同様に、理想都市とは何かという議論にも結論は出ないと思います。理想社会というのが基本的にあり得ませんので、理想都市というのもあり得ません。理想都市を提唱できるのは狂人か天才のいずれかです。
つまり、せいぜい人間にできることというのは、ある程度の論点を絞って何がより望ましいかを検討することです。
例えば、大量の人口が首都に流れ込んでくるときに、首都人口を抑制して周辺の都市を整備するのがいいか、それとも首都を改造して巨大都市化を容認するのがいいか、こういうことは一つの論点になると思います。
他にも、都市計画の権限は中央政府に委ねるべきか地方政府に譲るべきか、土地利用の自由または建築の自由はどこまで認められるものか、このような論点をめぐる議論が都市計画という分野を構成しているといって間違いではないでしょう。
石田の著書は、そういう論点をめぐる議論を歴史の縦軸にして解説してくれているから、とてもありがたいわけです。