LIFE LOG(カワカミ・レポート)

カワカミ・ノート

おもに都市計画やまちづくりに関わる考察などを書いていきます。

アメリカ人都市研究者による高密度化の都市計画に対する批判

【アメリカ人都市研究者による高密度化の都市計画に対する批判】 グローバル化と脱工業化によって、世界の多くの大都市はチャンスの集まる場所から、貧富の格差の激しい場所へと変貌を遂げた。今日、パリ、ロンドン、東京、ニューヨーク、サンフランシスコと…

江戸の人口ブラックホール

【人生の残りの時間について】 昨年のうちに、おめでたいことに2人の友人にそれぞれ子どもが生まれた。つまり彼らは父親になった。友人が親になったというのは、実際その赤ん坊を目の当たりにしても、なかなか実感がわかない。 赤ちゃんのお世話は大変そう…

ゲーテの都市論

【ゲーテの都市論】 ゲーテはドイツの統一について肯定していた。 ドイツが統一されないという心配は、私にはない。立派な道路ができて、将来鉄道が敷かれれば、きっとおのずからそうなるだろう。しかし、何をおいても、愛情の交流によって一つになってほし…

神宮外苑の問題

【神宮外苑の問題】 神宮外苑の再開発問題が佳境に差し掛かってきたように思う。ある意味では、今回の再開発事業は象徴的なケースになるかもしれない。 同再開発事業は、2021年末の都市計画縦覧によって内容が公表された。当時から1,000本近くの樹木が伐採さ…

わざとらしいデザインの高層ビル

【わざとらしいデザインの高層ビル】 J.ジェイコブズは、再開発でディベロッパーの建てるビルにはわざとらしく奇抜なデザインが多いことを指摘していた。それは結局のところ、ディベロッパーのビルは用途が同じようなものばかりだから、外観で意図的に違いを…

箱の町

【箱の町】 ディズニーランドへ泊りがけで遊びに行った時のこと。 ホテル代を安くしたいので、ディズニーリゾートのホテルではなく、舞浜駅から一つ外れた新浦安駅の近くのホテルに泊まった。もともとマンションだった物件を改装したホテルのようで安く泊ま…

フェデラル・ブルドーザー

【実家や本籍地がただの郊外住宅では寂しい】 人は結婚すると、相手の実家を訪問したり自分の実家に連れてきたりということをする。親族の家を一通り挨拶にまわるという場合もある。 そうした際に、相手の親族がだいたいどういう家に住んでいるかを知ること…

冬を感じる瞬間

【冬を感じる瞬間】 数日前に浅間山を見たら山頂のあたりが白くなっていた。たいていの群馬県民は、浅間山が白くなっていれば、今年も冬が来たなと感じるのではないか。浅間山は白くなりやすいが、他の山は白くなりにくい。 冬は山の景色がきれいに見える。…

草津町の再開発②

【どうでもいい情報と重要な情報①】 仕事ではメモが欠かせないと言う。メモを取るのは、それが必要な情報だからであろうが、そもそも、なぜメモを取るのか。もちろんメモをしなければ必ず忘れてしまうからだけれども、扱う情報全てを記憶していれば、メモは…

草津町の再開発

【なぜ文章を書くのか】 私のブログは、概ねもう今後会うことはないであろう人たちに対して書いている(偶然どこかで会ってしまう可能性もあるが)。 たとえ賛成されないような意見であっても、「もう会うことはない」と分かっていれば、気を楽にして書ける。人…

『余韻都市』について③

【過疎地域の建設業③】 果たしてICT等の最新技術が、過疎地域の建設業にとって救いになるのかどうか、以前に書いた。ちなみに結論はNOである。 その一方で、コロナ禍が明けていくにつれて、地方建設業の人手を確保するにあたって、もう一つの選択肢が現実味…

『余韻都市』について②

石川栄耀は、大都市住民には個人主義的な性質があると指摘していた。少し長いが、石川が大都市住民の特徴について述べた部分を引用する。 之は居住に於てはその植民地的な貸家的な性格と相まち、隣人をして最縁遠き、無縁の木石たらしめる。それに又、大都市…

『余韻都市』について①

最近読んだ『余韻都市 ニューローカルと公共交通』には、随所において石川栄耀について触れられていた。 具体的には、「3章 劇場と都市の変遷からみる歩行者と公共交通が連携した計画の重要性」では、劇場が盛り場において重要だとする上で、石川栄耀は「盛…

田村明④

【過疎地域の建設業】 以前に過疎地域の公共事業が立ち行かなくなる懸念について書いた。過疎地域の建設業を維持するためにはどうすれば良いか。 一つ考えられるのが、人手が足りなくても最新の技術で補おうとする選択だろう。つまり、ICTやロボット技術等を…

田村明③

群馬県は、令和元年の台風19号によって多大な被害を受けた地域の一つに入る。 およそ2年前の台風であり、その頃の自分は大学生だった。テレビをつけると「自分の命を守る行動をしてください」みたいな話ばかりしていて、危ないと思ったので大学へ避難しに行…

田村明②

都市伝説というのが昔から嫌いだった。犬も食わないようなデタラメな話をドヤ顔で聞かされるのが我慢できない。 あり得そうであり得ない話をされるならまだ良いが、明らかにあり得ない話をされても反応のしようがない。 特に最近の都市伝説はひどい。 この間…

田村明①

インフルエンサーと呼ばれる人たちがいる。SNSを駆使してそういうのを目指す人もいるのだろうが、若者はあまり「影響力を発揮しよう」などと考えるべきではないと思う。バズる動画をつくって、クラスで人気者になって、あわよくばテレビに出ようとか、そうい…

都市計画について⑤

「コロナは飲んでも構わない」という某京大教授がいた(アレには驚いた)。それを支持する某大学教授がいて、さらにそれを支持する学生などがいるらしい。これは、どう理解したら良いんでしょうか。 某大学教授は、パンデミック下の東京五輪について、感染拡大に…

都市計画について④

一昨年前から、某雑誌に読者投稿の枠で論考を出していた。若年なのが良かったのか、景気よく掲載してもらっていたが、コロナ禍で編集長が暴走。コレには関わりたくないと思い、某雑誌からは足を洗うことにした。 危険から回避できたのは良かったけど、物書き…

コンビニについて

仕事柄、車で山の現場まで上って行くことが多い。 行く途中でコンビニに寄るのだけど、最近確信したことがある。山の方にあるコンビニって、ヤマザキショップばっかりだ。 調べてみた感じ、それまで「デイリーヤマザキ」だと思っていたけど、どうもデイリー…

住宅について

ある時、上司と一緒に仕事で車に乗っていたら、住宅の話題になった。そのうち上司が外を見て「あれはどこどこのハウスメーカーが建てた家だね」ということを言った。結婚して家を選ぶようになって、いろんなカタログを見ているうちに、住宅の特徴がけっこう…

商店街について④

最寄りの駅の向かい側に、新しくクレープ屋さんができた。 駅の周辺はだいぶ前から活気を失いシャッター通りになりかかっていたというので、新規出店は意外だった。 ところが、今度はまたすぐ付近に台湾カステラのお店ができるらしい。地方の駅近くにお店が…

都市計画について③

自分の職場の中に、よく休みがちな人がいる。50代くらい。 両親の介護をしているらしい。本人も病気がちという。 一昔前は仕事の出来る人だったようで、今の状況にも関わらず周りからは一目置かれている。彼が健常に戻ることを期待して、職場の人たちはいろ…

都市計画について②

これは有名な話らしい。 山手線の外側には、木賃アパートベルトと呼ばれる地帯があります。 過密化、建物の老朽化、高年齢層の滞留など、東京でもっとも災害危険度の高い問題市街地です。 高度経済成長期にあたる1955年から1965年にかけて、「金の卵」と呼ば…

都市計画について①

今後から基本的にですます調に改めます。 石田頼房『日本近代都市計画の百年』がとても面白いと思いました。 都市計画について知るなら、日笠端・日端康雄の『都市計画』も良いと思いますが、歴史的な議論を追っていくには石田の著書が推奨されます。 具体的…

LRTについて

以前から思っていたことなのだが、LRTとは結局のところ何なのだろうか。 大学時代に初めてLRTの写真を見たとき、「バージョンアップしただけの『路面電車』ではないか」と感じた。その後、富山市のLRTに実際に乗ってみたり、LRTについて書かれている本をいく…

交通政策について②

【要点】 都市計画における三つの考え方。自動車交通への批判。角本の構想の具体的な内容。 【本文】 角本によれば、都市計画には3パターンの考え方があるという。 一つめは、職場と住宅をセットで分散させるという田園都市論。二つめは、住宅のみを分散させ…

地方都市の役割について

地方都市とは人口のダムみたいなものだと思う。(1) 現代人は、放っておけば豊かな暮らしを求めて、農山漁村から地方都市へ、地方都市から中核都市へ、中核都市から首都へと流れ込んでいく。居住移転の自由が許されている以上は仕方がない。 問題は、そのなり…

交通政策について①

【要点】 新幹線の交通政策。「通勤革命」を提唱した角本良平。第一次首都圏基本計画への批判。新都市建設への批判。郊外整備という角本の方針。 【本文】 前回の更新からけっこう時間がたってしまった。本当は月イチぐらいで出したいのだけれど、仕事が忙し…

住宅政策について③

【要点】 住宅政策における新自由主義の影響、その結果。東京におけるタワーマンション建設の要因。 【本文】 1990年代から、日本は新自由主義のイデオロギーにもとづく経済政策へと舵を切った。新自由主義の要点は、理想的な自由市場を実現すべく、規制緩和…